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長崎 船大工町

私の母夏木は 井手家の 初めての女の子ではない。
長女 翠(みどり)は 大正14年4月3日に生まれたが、残念なことに 生後17日で 亡くなったらしい。
出生届けは出てないが、桃太郎のノートには 船大工町17(松永産婦人科?)と書いてある。

ということは 井手傳次郎とその家族は、
昭和3年に 片淵町に移るまで 船大工町に住んでいたのか。 

長男桃太郎の妻 睦子さんは 前回の登記の発見で電話した時 言っていた。

「おいちゃん(桃太郎のことを睦子さんはこう呼ぶ)はね、
響写真館のお弟子さんで 桜馬場で月光スタジオをやってた 大久保月光さんのお葬式の時に 
長崎に帰ったのが ただ一回だけなの。 」

へえ、そうなんだ。  
活水女学院と 附属小学校の同窓会で 夏木は何度か長崎に帰っていたようだが、
井手家の男たちは 帰る家がないから きっかけと踏ん切りがないと 
なかなか長崎には 行きにくいのかもしれない。

「私も一緒に行ったんだけどね。
その時に 井手家が 片淵に移る前に住んでた 船大工町に行ってみたの。」

やはり 船大工町に住んでいたんだ! よしよし 確認取れたぞ。 とはいえ
長崎の土地勘が 私にまったくないので 地名を言われても 風景が浮かばないのが悲しい。

「ほら、2年前に チコちゃんと(私のこと)と根本さんと関谷ミチコさんとコウスケくんと長崎に行った時、
丸山の花月で私の活水同級生の小野さんと お昼食べたでしょう?」

長崎の丸山は、江戸の吉原、京都の島原とともに三大遊郭といわれた花街で、
花月は 造船業 海軍さん 国際人の社交場にもなり 文人墨客も多く訪れた高級料亭だ。
幕末には 坂本龍馬や勝海舟もよく利用したようで
坂本龍馬の 刀傷のある柱や 龍馬直筆の直訴文も飾ってある 史跡料亭になっている。

花月の 名物芸妓愛八が 長崎に伝わる古い歌を求めて 市井の歴史家 古賀十二郎と 旅をする
なかにし礼の小説 『長崎ぶらぶら節』の舞台でもある。

石段を 登って 曲がると 花月という 大きな提灯が 下がった玄関で
長崎の名物料理 卓袱(しっぽく)料理も食べられる。
卓袱料理を 松花堂弁当風にしたランチを 睦子さんにごちそうになった。

「花月の前のゆるい坂をおりたところが 丸山公園で、カステラの福砂屋の本店があるでしょ。 
その手前の細い路地を 左に入ると 中華街や 活水の方に抜ける 細い道があるのよ。
その途中に 石段があって その上が大徳寺って お寺はもうないんだけど 公園になってるの。」

ふむふむ。 カステラの福砂屋でミチコちゃんが お土産のカステラを送ってたなぁ。 
なんとなく 地理が浮かんできた。 

「その大徳寺跡に 大きなクスの木があってね
おいちゃんは弟の幸蔵さんと 毎日毎日 その木に登って 遊んでたんだって。 

そのクスの木が まだあったのよ〜。 おいちゃんの喜んだこと喜んだこと。
子どもみたいに 木に登って、 写真も何枚も撮ったよ。

そこで 幸蔵さんと遊んだ頃が 一番楽しかったんだって。
片淵の 響写真館に 移ってからは おすまししたお行儀いい坊っちゃんに させられてたからねぇ。」
睦子さんは おかしそうに笑った。
 
へえ そうなんだ。 この話は初めて聞く。

睦子さんは、なぜか重要な情報を 小出しに出してくる。 (笑)
自分でも 忘れているのかもしれないが、
まるで こちらの対応能力の熟成を待って、タイミングを計っているかのようにも 思える。

船大工町。 

いい名前だ。 船を作っていた 海のそばの人々の暮らしが 地名に残っている。
桃太郎が登った クスの木。 行ってみたいな。

兄 桃太郎と木のぼりしたことを 弟の幸蔵さんは 覚えているだろうか。
| 長崎8人兄妹物語 | 23:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
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