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話したこともない祖父 写真家 井手伝次郎

私の母方の祖父 井手伝次郎は 長崎で 響写真館を営んでいた。

前の記事に書いたが、
響写真館は 親から代々受け継いだ老舗ではなく、 
親の借金を返すために 仕方なく東京から長崎に戻った 井手伝次郎が 
ゼロから立ち上げた 写真館だった。



8人いる子どもたちの 上2人は 東京、佐世保生まれ。
3番目に生まれた女の子翠は(大正14年)は 長崎船大工町で 生まれてすぐに死去。
その後 昭和3年に生まれた 母夏木以下5人は みな響写真館の住所=長崎片淵町生まれなので 
響写真館を構えたのは 昭和元年か2年ということになる。

ツタのからまる しゃれた調度の写場(スタジオ)で撮る 記念写真。
女性たちは、響写真館で 写真を撮ることが 憧れだったそうだ。



                                                            


画家をめざして 17才から東京に出た伝次郎の 
構図と 修正技術が評判を呼んだらしい。



右が修正前。 左が修正後。 ガラス乾板に ニスのようなものを塗って
エンピツで 丁寧に修正していくので デッサン力が 大きく左右したらしい。
お弟子さんも 女中さんも 大勢かかえた。


しかし 戦況悪化の中で 伝次郎は 軍部の検閲にうんざりし、
兵隊の写真撮影を拒否したために 憲兵から叩かれ 配給を断たれ 
写真館を閉じざるをえなくなって 佐賀県太良に疎開した。

原爆以後 長崎には戻らず 家族で奈良に出たので
響写真館は 昭和のはじめに 長崎にたった18年だけ存在した 
一代限りの写真館だったことになる。

私が赤ん坊の時に 奈良で一度だけ 祖父に抱いてもらったことがあり、
「この子には 私の血が流れている」と 初孫の誕生を喜んだそうだが、
もちろん 赤ん坊の私に記憶はまったくない。
いわゆる 「長崎のおじいちゃん」という 土地と暮らしぶりがセットになった 祖父の思い出は
私には 何一つないのだ。

母の死後2007年から始めた おじおばたちの聞き書きを 
『長崎八人兄妹物語』として公開していく中でも 
祖父のことは 写真館の興亡もふくめて みんな初めて聞く話ばかりだった。

長男桃太郎の死後 発見された1300枚のガラス乾板を 私が譲り受け
タケミ・アートフォトスさんに 全部焼き付けていただいた。
たくさんの 家族スナップ写真と共に、当時の暮らしぶりが 画像を持って 浮かびあがった。







『長崎八人兄妹物語』 を なんとか本にしてほしい。

ブログを読んだ友人たちから言われた 嬉しい反応に 後押しされて
2年前から 色々な方に時間を割いていただき 原稿を読んでいただいている。
が 私の力不足で 現実は そう簡単には 進まない。

私の中でも 17才で被爆 という母の原爆手帳を見たことから
長崎大橋の三菱兵器工場に 学徒動員で 通っていた母が
なぜ8月8日、つまり原爆前日に 疎開先の家族のもとに帰ったのか、
それまで長崎で 娘が一人 どこにいたのかを知りたくて始めた 聞き書きだったので、
おじおばたちの話で 次第にわかってきた 祖父井手伝次郎の 生き方や 
ガラス乾板の発見で 浮かび上がる 響写真館の興亡 など              
テーマと切り口が 絞りきれずにいるからだろう。 




息子たちが語る 父親 伝次郎の 
ヨーロッパの哲学や芸術への傾倒に根ざした 徹底した個人主義。
ある意味その気骨のために 響写真館は
昭和の軍国主義の中を 生き延びることができなかった。    

そういう気骨ある家族が 
日本のあちこちに たくさんいたのだと思う。
ひとつの精神の系譜として 知っていただけたらと思う。 
      
長崎に たった18年しか 存在しなかった 響写真館。

私は 話したこともない祖父 
写真家 井手伝次郎に 何かを託されたような気がして
『長崎八人兄妹物語』 の 出版に 駆られてしまう。




  
| 長崎8人兄妹物語 | 13:52 | comments(1) | trackbacks(0) |
Comment
千絵さん
写真ありがとう〜。
中身濃い貴重な1日でしたね!
泉さんのお話もっと聞きたかった。次回またですね、きっと。
慌ただしい日々ですが、合間を縫ってこちらでも調べてみます。父の家にももっとありそうな☆(^_-)マイブーム「蛇の歌」♪
2011/10/04 9:07 AM, from かよこ









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