屈折率


ええええ〜〜また『雨ニモ負ケズ』〜??

宮沢賢治を 引くのも いいけどさあ、 (私も 引いたけど)
もっといい詩 いっぱいあるのに またそれ〜?? 
 
そもそも 『雨ニモ負ケズ』は 賢治が37才で 病死した後、
トランクの中から発見された 手帳に書きつけてあったメモで  詩ではないが。

30才で 天職だったといえる 花巻農学校の先生をやめて、
自分も ほんたうの農民になろうと 羅須地人協会を立ち上げ
農民芸術概論綱要を書き 
せかい全体が幸福にならないうちは 個人の幸福はありえないと 理想に燃えていた。

農民のための 肥料設計や 農事相談 レコード鑑賞会を企画し
古い因習やしきたりで がちがちになっている 農業に
科学の力を導入し(新しい肥料や 品種改良) 
生産量を増やして 農民の生活が豊かになることを願った。 

でも あまりの粗食と肺浸潤で 病に伏すことが多く 32才からは 生家に戻った。 
『雨ニモ負ケズ』 は賢治35才 たぶん 田畑や林を歩いていた時 胸に浮かんだ 
自分への励まし 法華経信者としての自戒 理想を 書きつけたのだろう。
ある意味 死を覚悟しながらの 辞世の言葉ともいえる。

デクノボーのように 自分を数に入れずに働き続ける 農民の想いも 投影されているが
ほんとうの農民ではない自分、町からも農民からも省かれてきた 宙ぶらりんな わたくしといふ現象
屈折した 修羅を生きてきた 歯ぎしりの果ての つぶやきなのだ。 と思う。

だから この震災の復興支援イベントで 各地で(パリでも!) 
東北に生きた 宮沢賢治の 『雨ニモ負ケズ』の朗読が 取り上げられているが 

欲しがりません 勝つまでは 
たてつきません 死ぬ目にさらされる政治でも
  みたいな 
日本の禁欲主義  の象徴みたいに 取り上げられるのは
外国人には アンビリーバブルな エキゾチック・JAPAN なんだろうけど
なんだかな〜 ↓↓ って 思ってしまう。 

賢治さんの底にある マグマみたいな激しさ 熱情 屈折は 全部そぎ落とされて
日本人の 賢治の拾い方 利用の仕方の ワンパターンは 
なぜ そうなるんだろう??  思想史的 課題だと思うなあ・・・・・  

賢治の詩は もっと 力強くて いいよ〜〜。  


屈折率

  七つ森のこつちのひとつが 
  水の中よりもつと明るく 
  そしてたいへん巨きいのに
  わたくしはでこぼこ凍ったみちをふみ
  このでこぼこの雪をふみ
  向ふの縮れた亜鉛の雲へ 
  陰気な郵便脚夫のやうに
    (またはアラッディン 洋燈(ラムプ)とり) 
  急がなければならないのか      
           

賢治が生前 自費出版した 唯一の詩集 『春と修羅』(大正13年 賢治22才)
屈折率は 序につづく 最初の詩である。

屈折率は 光線が 他の媒質を通る時の 光の曲がりぐあい。

賢治の詩で 私が好きなところは こういう科学用語が あちこち出てきて
もやもやした 情緒のからまりを スパっと 科学反応 科学現象のように言ってしまうこと。

それから 視点の 反転。 

海だと思ったら 山 底だと思ったら 雲のむこう
汽車の中だと思ったら 銀河とブラックホール みたいな
今では CGや アニメで 容易に ビジュアル化できることを
言葉の力と テンポだけで スコーンと 視点と 自分の存在位置を 変換してくれるところ。 


岩手山

  そらの散乱反射のなかに 古ぼけて黒くゑぐるもの 
  ひかりの微塵系列の底に きたなくしろく澱むもの
                                               1922 6 27

自分の故郷の 毎日見てた風景を
こんな風に 情緒を入れずに 表現できるだろうか。

いや もちろん 黒くゑぐるもの きたなくしろく澱むもの の方に
自分が投影されてるわけなんだろうし 
でもそんな 解釈くそくらえで ともかく 岩手山は 今日も ど〜んと在る。

そんな風に よどみ へこみ 歯ぎしりし
それでも 雲の向こうへ 今日も 歩いていかねばならない・・・・

今の東北に 贈りたい言葉は むしろこっちだな。

私は 行きがかりで 宮沢賢治を 30年も子どもたちとやっているが
ぜんぜん 宮沢賢治ファンだったわけじゃないし むしろ 宮沢賢治は 好きじゃなかった。 
作品も 高校の現代国語でやった 「永訣の朝」くらいしか 読んだこともなかった。 

でも やってみると 賢治は イヤじゃない。 
飽きない。 いつも 新鮮な 発見がある。 
色んな 入り口があって しかもガツンと来る。 まだまだ 知らない作品が たくさんある。

詩は 意味不明でも
そのことばの並びとリズムに からだをさらして 
(風に吹かれるように あるいは 水に浸すように) 時期が来るまで おいておくのが 好き。
  

ということで またまた 新カテゴリィ 立ち上げました。(増やしすぎだろっ! 笑)
屈折率   
賢治作品の 独断的 ピックアップ。  子どもたちとは 童話作品しか やらないから
たまには 詩も ご一緒に 読んでみませんか。

異なる媒質に入る時の 屈折率 
        人間も 鍛えて欲しいな〜・・・         という 願いをこめて。
 



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